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食べ物と六ケ所村の関係
六ケ所・核燃料再処理工場から出る放射能性物質は、大気と海に放出されます。
工場側の正式な発表では、日常生活には影響がない程度の量となっていますが……。
近隣には、家があり、農園があり、豊かな漁場があります。本当に問題はないのでしょうか?

放射能の影響は、こんな方面にまで!?
海から
海の恩恵にあずかっているのは、魚や海草ばかりではありません。
海水を直接飲むこともあるサーファーの一部では反対運動が起こっています
海産物
大切な漁場が放射能で汚染されるのでは、と近隣の漁師さんは不安の声を上げています。
イカやひらめ……北の海の幸が、将来食べられなくなったら困ります
海早類
放射能は海流の影響で岩手や宮城の海岸へも。
いくら「心配ない」といわれても、漁師さんの心配は払拭できません。
「三陸の海を守ろう!」と、「わかめの会」など多くの団体が反対活動を展開
六ケ所・核燃料再処理工場
青森県上北郡六ケ所村に、日本原燃が建設。
今夏、本格稼働予定。
原子力発電の電気をつくる過程では放射能のゴミ(使用済み核燃料)が出ます。
それを再利用するため化学的に処理し、そこからプルトニウムなどを取り出すための施設
農作物
「安心」と工場側は説明しますが、近隣の農作物は通常より高数値の放射能を取り込む危険
にさらされています。
「安心というなら、放射能値も表示して販売することもできるはず」と、反対派の人はいいます 
呼吸により
六ケ所村と同様の核燃料再処理施設を擁する英国のセラフィールドエ場の周辺地域では、工
場ができてから白血病にかかる子どもが増えた、と映画『六ケ所村ラプソディー』ではレポート
されています
畜産物
六ケ所村は、農業、漁業とともに畜産も盛ん。
大気はもちろん、放射能性物質に汚染された牧草を食べる牛やその乳製品にも影響が懸念さ
れるのです。

知っておきたい4つの問題
1日原発1年分の放射能を排出
平常運転時、再処理の過程で出た放射能は、高さ150mの排気筒から大気へ沖合3km先
の放出管から海へと放出されます。
前者の放射能量は通常の原発をはるかに上まわる数値。
これが、1日で原発1基の1年分といわれる理由。
工場側は日常生活に影響のないレベルと発表しているのですが……。
危険なプルトニウム
使用済み核燃料から取り出されるプルトニウムは「角砂糖5個分で日本人全滅」「小さじ1杯分
で2000万人の致死量」といわれるほど危険な元素。
長崎型原爆の原料でもあります。
そして半永久的(2万4000年)に放射線を出しつづけます。
使い道のないプルトニウム
多くの危険と隣り合わせで取り出したプルトニウムを再利用する発電所「もんじゅ」は、現在、
事故で休止したまま。
たとえ「もんじゅ」が始動し、プルトニウムを使うとしても、燃料は冷却期間が必要なため、すぐ
に使い道がないのが現状なのです。
かかりすぎるコスト
工場の建設費、運転・保守費、廃棄物処理費を合わせて11兆円と電気事業連合会が公表。
核燃料サイクル事業全体だと19兆円と試算。
費用は私たちの電気料金に加算されはじめました。

大地を守る会・大野由紀恵さん、大北雄二さんに話を伺いました
消費者はもちろん、何よりも生産者を守りたい
有機農産物宅配サービスで知られる大地を守る会は、いち早く六ケ所村問題に着目。
食べ物や暮らしにつながる身近で大切な問題と、反対の声を上げてきました。
「きっかけは20年前のチェルノブイリの原発事故です。
大気に拡散した放射能性物質が風に乗って、日本の野菜からも検出されたのです。微量でし
たが、私たちが原発の問題に取り組む契機となりました」(大野さん)
消費者はもちろん、生産者も守りながらの”原発を止めよう、再処理やめよう”の活動は、大地
を守る会ならでは。
「風評被害におびえる現地の生産者も多いですから。海流の影響をダイレクトに受ける青森の
お隣の岩手の重茂漁協は、風評を恐れず、海を守るため早くから勇気ある怒りの声を上げら
れました。それには大変励まされました」(大北さん)
食べ物への実際の影響は再処理工場が稼働してみないとわからない。
でも、放射能放出は公式に発表されている事実。
「どう考えてもGOの選択肢はありえない」と断言します。

大地を守る会事務局のおふたり。
大地宅配 http://www.daichi.or.jp/


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